ぎんゆうしじんになりたい男のブログ

キングコングバンディと猪木のボディスラムマッチみたいになってっけどよぉ by 上田晋也(くりいむしちゅー)

死にたい老人 木谷恭介

 推理小説家木谷恭介が「断食安楽死」を計画・実行した記録で、出版は2011年9月である。その後の2012年に心不全で木谷恭介はこの世から去る。
 断食して死ぬ方法が書いてあるわけではなく、断食して死に至ろうとすることを通して木谷恭介が自分の人生を回想するドキュメントである。
 戦前・戦後を生きた木谷恭介にとって日本の解決されない問題とは、上級官僚による日本の政治・経済支配による下級日本人の困窮であった。
 この官僚による日本の支配は半永久的に続くと考えられるから、安寧な生活と2000万円の老後資金を悠々と稼ぎ出すために、頭のいい人たちは試験勉強に熱中して取り組み官僚を目指すのだろう。誰もがそのように実行していることがその証左である。

 この陰りが見えつつある資本主義社会で、いい人生を送るにはどうしたいいのか?という問題に、大多数の頭のいい人が官僚を目指すために試験勉強に必死に取り組むというのはさみしい過ぎる解答ではないだろうか。しかし、みんなのために生きて貧乏したら大変だというのが頭のいい人間の本音か。