ぎんゆうしじんになりたい男のブログ

キングコングバンディと猪木のボディスラムマッチみたいになってっけどよぉ by 上田晋也(くりいむしちゅー)

映画『馬上の二人』考察

 この映画は、シナリオが描くべきテーマを描き出していないので、すべてが中途半端である。
 この映画のテーマは、コマンチ族によって連れ去られ、彼らによって育てられた白人が、本来暮らすべきであった白人社会のテリトリーに還ることに
なるが、血統は白人であるにも関わらず、白人社会から拒絶されることであろう。
 ということは、冒頭でSETUPするべきは誘拐された住民の奪還を騎兵隊に依頼する民衆だろう。でないと終盤の民衆たちの身勝手なリンチが効いてこな
い。つまり、誘拐された人々の奪還を求めたにも関わらず、取り戻した人物が自分たちの思い描いたものではないと判断すると、手のひらを返すように
迫害する人間の身勝手な心が客に伝わるようにシナリオ構成するべきだったのだ。
 冒頭のシーンは、まったく必要ない。序盤でSETUPできていないので、結末へと向かってもシナリオが機能しない典型である。
 白人社会のテリトリーで、白人の格好をするという、いわば郷には郷に従った人を差別することはアメリカの精神に反するのだから、主人公はヒロイ
ンといっしょに町を飛び出すのだ。

台詞
主人公と言い争う少佐  主人公→少佐もしくは中尉

 そのために俺を60キロも引きずってきたのか→君はわけあって自分の意志できたんだろ
 確かにそうだがこれで帰る理由ができた_少し寝たら出発する→彼らを失望させて眠れるのか
 赤子のようにぐっすり眠れるさ→彼らの期待に満ちたまなざしを見ただろ
 ああ見たさ_不思議に思ったがそのわけが分かったよ。だからこそ期待を裏切れば獣の餌にされる→君はクアナ酋長と取引をし信頼されている。
 彼は母親さえ信用しない。何度か取引はしたさ馬や獣皮や金と…→銃も
 ああ何丁かなだが言っておく彼らの集落に行くときはいつも命がけだった。頭皮をはがされたくない→報酬を払うと言ったら
 _それなら話を聞こう→私の権限を超えるが、君を偵察兵として雇う_給料も中尉と同じだ
 月給80ドル?→食事つきだ
 (ため息)少佐_俺から提案がある。これを受け取ってくれ_100,200…400ドルあるまっとうな金だ→____
 これで偵察兵を5人雇い今言った任務を命じてみろクアナ集落に乗りこみコマンチ族が20年の間にさらった白人を救出しろと→______
 400ドルあれば十分だろ_何人引き受けるか楽しみだ→(金を投げ返し)中尉、保安官はお帰りになるそうだ。町での仕事の方がよっぽど金になる
らしい
 (主人公は出口に向かう)→(中尉が)ベルはさぞかし喜ぶだろうな、ガス
 なんだと→(少佐が)いくら欲しい?(口を挟もうとする中尉を制して)_人の命の価値はいくらだと思う?
 それは当時者が決めることだ→軍は80ドルが限界だ
 信じるよ、だからそれで手を打とう→座れ
 価値感は人それぞれだからな不足分は開拓者たちからもらう→不足分だと
 俺は一人につき500ドルが妥当だと思う_1人救出するごとに500ドル→それがジョークなら悪趣味だな
 ぎりぎりの金額だ→それなら地獄へおちろ
 そうか好きにしろ、だが覚えておけコマンチ族の村に部隊を送れば平和協定に違反する。また戦争になればあんたの経歴に傷が付くぞ→心配せんでい
 降格されてもいいのか、票集めに必死な議員からは何とかしろと迫られる。だから民間人の俺に任務を託したいんだろ、だが軍の給料じゃお断りだ→開拓者たちに500ドルなどない全財産手放してここまで来たんだ。
 交渉は俺がする、あんたじゃない。3時間くれ、彼らに現金があればいい→(中尉が)ガスは”やります”よ
 そうだ”やる”よ、どうするあんたが決めるのか?それとも彼ら自身に決めさせるのか→君を選んだ理由は知られている、彼らは君を救世主だと思っているらしいが、こんなクズだとはな。(こいつを)連れていけ、ドアを開けて換気しろ
 交渉成立だなうれしいよ→(苦々しい少佐)