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キングコングバンディと猪木のボディスラムマッチみたいになってっけどよぉ by 上田晋也(くりいむしちゅー)

岡田英弘 歴史はことばでつくられる

歴史はことばでつくられる。
 
 『(前略)世界を空間だけでなく、時間軸に沿っても捉えようとするからである。このように、時間の軸に沿い、今見えなくなった世界も実在する世界であると見て、まとめて理解しようとするのが歴史なのだ。
 では、「理解する」とは、どういうことなのか。
 それは、ストーリーを受け入れる、ということなのである。われわれは、繋がりのないバラバラな事象はなかなか頭に入らないが、ストーリー(物語と言ってもいい)は頭に入る。因果関係のない事件をたくさん並べられても、脳は整理がつかないが、因果関係を結んでやると、受け入れられるのである。
 この世界は、本当は偶発事件ばかりの積み重ねで、なんの筋書きもないのだが、歴史はそれにストーリーを与える機能を持っている。言ってしまえば文学なのである。だから、歴史をつくっている材料は言葉であって、ものではない。』
 歴史とは、過去から現在にかけての実際に起きた、偶発的なものごとに、編纂者が因果関係をつけたストーリーである。繋がりのない出来事に繋がりがあるかのように思わせるのは言葉である。よって、歴史は言葉でつくられる。
 出来事はただ偶発的に積み重なってゆく。ただし、人が言葉によって、出来事の前後の繋がりをつくると、単なる出来事が歴史的な事件へと発展する。もの、ことではなく言葉が歴史をつくる。

【参考図書】
岡田英弘 岡田英弘著作集 3 日本とは何か
岡田英弘 1931年東京生。歴史学者。シナ史、モンゴル史、満洲史、日本古代史と幅広く研究し、全く独自に「世界史」を打ち立てる。東京外国語大学名誉教授。
東京大学文学部東洋史学科卒業。1957『満州老檔』の共同研究により、史上最年少の26歳で日本学士院賞を受賞。アメリカ、西ドイツに留学後、ワシントン大学客員教授東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授を歴任。
著書に『歴史とはなにか』(文藝春秋)『倭国』(中央公論新社)『世界史の誕生』『倭国の時代』(筑摩書房)『チンギス・ハーン』(朝日新聞社)『中国文明の歴史』(講談社)『読む年表 中国の歴史』(ワック)『モンゴル帝国から大清帝国へ』『(清朝史叢書)康熙帝の手紙』(藤原書店)他。編著に『清朝とは何か』他。