ぎんゆうしじんになりたい男のブログ

キングコングバンディと猪木のボディスラムマッチみたいになってっけどよぉ by 上田晋也(くりいむしちゅー)

ハンナ・アーレント 2 複数性

 アーレントは複数性というものを「複数性という人間の条件、すなわち地上に生き世界に住まうのが単数の人ではなく、複数の人々であるという事実。たしかにこの複数性こそすべての政治の生の条件であり、その必須であるばかりか最高の条件である。」としている。
 本来世界は人間を含めた生物の複数性に基づく生活領域であり、そこには人間と人間、自然と人間との間に相互に主体でありながら客体であり、知覚しながら知覚されるような相互性を基盤とする共生関係がある。
 しかし、近代を経て発生した社会的なものはいつでも社会の成員がたった一つの意見と一つの利害しかもたないような、単一の巨大家族の成員であるかのように行動することを要求する。
 社会的なものは、公的領域での議論を封殺してしまい世界の複数性を阻害する。よって、アーレントは単数で構想された世界は危険であるとし、複数からなる世界を考えた。この複数性に基づきアーレントの政治論も展開される。

【参考文献】
ハンナ・アーレント入門 杉浦敏子