ぎんゆうしじんになりたい男のブログ

キングコングバンディと猪木のボディスラムマッチみたいになってっけどよぉ by 上田晋也(くりいむしちゅー)

ハンナ・アーレント 1

 トクヴィルは、「諸階層の平等化が進み、多元的な社会が破壊された結果、従来の階層的な倫理もなくなり、一元的な価値が支配していく状況になっていく。この中で人々は、それぞれがよく似た存在となり、互いに孤立し自分の殻に閉じこもるようになる。
 自らの自由や生活が、いかに社会や同胞によって支えられているかを忘れて、膨大な数の大衆と呼ばれる人々の、他者の干渉を嫌う権利意識は高まるが、他者を考慮する倫理的責任感は消失し、公共的活動からは退却してゆく。」と20世紀の大衆社会の誕生から21世紀の社会の現状を予言しているかのようである。
 
 自分の公的負担を避けて自己利益だけを追求する公共性のない人が増加した。このことを私は、人々を無知蒙昧の闇から抜け出させるために、自然の光をもって啓蒙すれば、理性に基づいたよりよい世界が築かれるとした近代思想の理想像の破綻であると思う。

【参考文献】
ハンナ・アーレント入門 杉浦敏子