ぎんゆうしじんになりたい男のブログ

キングコングバンディと猪木のボディスラムマッチみたいになってっけどよぉ by 上田晋也(くりいむしちゅー)

原口あきまさの波乱万場 ~Life of Comedians~

 原口あきまさの波乱万場 ~Life of Comedians~
注、DVDの内容に触れている部分があります。お笑いについてなにも分かっていない人間が書いています。気にしないでください。

 若林は髪の毛をおろして、額を隠しており、春日も丸坊主ウォーズマン状態ではない。2008年M1決勝戦の二人の姿に近いことから、オードリーのズレ漫才の型は完成していたのだろう。二人がブレイクする以前のものだから、若林、春日の青い言動が目につくかと思ったが、この企画内の二人の面白さは売れ続けている現在と変わらない点が多かったと思う。
 特に春日は、ガンバレイ・シウバ(ダブルネームのジョー)と2回スパーリングすることになるのだが、お笑い芸人同士の対戦だから互いに牽制しあうだけだったり、泥試合になってもいいと思うのだけど、一回目の対戦でガンバレイが相手との距離を確認するためのジャブに、春日がいきなり左のハイキックを当ててガンバレイをKOするという結果に、”対決もの”で相手に完勝するという現在(2018年)の姿と重なるところがあった。しかも、2回目のガンバレイとの対戦では、相手の左ジャブに右のショートアッパーをカウンターで合わせるという漫画のような勝ち方をする春日は、ガチな設定で番組からのチャレンジを承諾し、画になる姿を残しつつテレビ的な結果を出すという、現在のチャレンジ芸人として仕事を受け続ける片鱗が垣間見えた気がした。
 売れた芸人は、ブレイク以前から売れ続けている現在に至るまでの要因となる笑いのセールスポイントがあり、売れるということは、ただ制作側に発見されただけなんだろう。オードリーはブレイク前から、私たちがテレビでみるようなオードリーだったのだろう。

 特典映像として、原口あきまさ、オードリー、モンキーチャック星の四人で現場検証のコントをするライブの映像がある。現在では考えられないほどに春日は会場でウケており、私自身、M1ブレイク後の春日でとにかく笑っていたことを思い出した。
 しかし、このコントでの春日を観ても、初見のように笑うことができないのが、”お笑い”ビデオの寂しさである。それでも、春日はとにかくあのとき会場でウケていたという記録であるということは確かである。
 人間は、”お笑い”に耐性があるので、初回以降は段々、面白く感じなくなりがちという哀しい習性がある。同じギャグで永遠に笑い続けることはできない。
 同じことで笑い続けることができないからこそ、”お笑い”は常に新しくならざるを得ないし、同じことで笑い続けられるなら、人間が必要とする娯楽も増加することはなかっただろう。