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キングコングバンディと猪木のボディスラムマッチみたいになってっけどよぉ by 上田晋也(くりいむしちゅー)

常陰比事1 中国古典文学大系 39  平凡社

  被疑者が他者から罪をなすりつけられるのではなく、役人から罪を断定される、無実もののお話しである。
 このパターンでは、冒頭で被疑者が登場して、客に感情移入させるべきである。
 客は真実を知っているが、それが役人たちの誤った推測によって捻じ曲げられるところに”我が身にもあったこと”として、親近感を覚える。
 終盤に、誤ったことが正しくなることで、客の劇中人物に対する不満の感情が浄化される。
 
 このパターンを利用した、”当初は簡単な事件もの”があると思う。
 その場合は、役人側を主人公にして、坊主の自白までテンポよく進める。聡明な人が、疑問抱き捜査を進めることでことの次第が明らかになっていく、というものである。
 そうなると、坊主がなぜ嘘をついたのか、ということとその嘘の内容が”よくできて”いないといけない。つまり、どうしてこうなったのかという鍵が坊主の言葉にかかっているからである。これは作者の技量が問われるものである。
 客が知的な興奮を求めているのならば、ストーリー上に謎がある”当初は簡単な事件もの”だろう。
 無実ものならば、ストーリー上に謎がないので終盤までに過ちを正せばいいだけだからある。客に考えさせず、待っていただくだけでいいのである。
 
 判事、手下の役人を聡明な人物
 主人、役人は先入観に囚われている人
 賊は、悪い人
 坊主と老婆は、身近な人

【参考文献】
中国古典文学大系 39  平凡社

※、常陰比事(とういんひじ)は、小説ではなく古来より優れた判決の実例をあげて、刑獄を司る者の参考に供した、裁判実話集である。