ぎんゆうしじんになりたい男のブログ

キングコングバンディと猪木のボディスラムマッチみたいになってっけどよぉ by 上田晋也(くりいむしちゅー)

レヴィストロース

 科学技術先進国からすれば、未開人たちは科学技術において後進的である、と考えられた。文明人には、科学的に合理的ではない迷信、風習を信じているのが未開人という存在であった。
 レヴィストロースは言語(ラング)奥底に差異の体系があるように、これまで単に原始的と見られてきた未開人の文化にも表面的に見ただけではわからない構造があるのではないかと考えた。
 構造とは、無意識のうちにある考え方や行動規範の公式である。この無意識が形成されるまでには歴史的な時間の蓄積があったとするものである。
 たとえば、余ったひとつのお菓子をこどもが3人で分ける場合にどうするのか、という状況があったとする。日本では、こどもがじゃんけんで誰が食べるのかを決めると思う。こどもがじゃんけんで余ったものを手に入れることは自然な選択であるとするならば、この物事の決定手段には構造があると考えてよい。
 このじゃんけんによる取得権は合理的でないようだが、日本の歴史が生んだ解決手段であり、当事者間で遺恨を生まないとすれば合理的な解決方法と言える。
 レヴィストロースが構造を検証したのは、未開人における親族間の結婚においてであり、もちろん、日本人のじゃんけんではない。
 レヴィストロースは、未開人の構造の中には科学的に正しいものがあると検証した。
 文明人が科学的な思考をもっているからといって、未開人に対して優越的な立ち位置を占めることはできない。
 
 注、構造 贈与論     
構造を検証するには、結局帰納法で考えざるをえないので注意が必要。
自分があてはめたい理論に合致しないものは非合理と考えてしまいがちである。
 
【参考文献】
 超訳 哲学者図鑑 富増章成
 哲学概論 西田幾多郎
 日本の無思想 加藤典洋