ＶＯＬ．７ ピカソ

　モダンアートは伝統絵画をあえて踏襲しなかった。伝統絵画を肯定しないことがモダンアートであった。
　なぜ、モダン・アーティストは伝統絵画の様式に従わないのか。
彼らは伝統絵画を見慣れたオーディエンスに、”どうして”と考えさせ、作者のコンセプトを知ってほしいからである。モダン・アーティストのコンセプトは無知蒙昧の大衆を啓蒙するためである。
　近代は、伝統の迷妄を科学的精神によって脱し、正しく明るい未来に向かおうとする時代である。近代絵画の主題も伝統的なものではなくなる。それは、伝統の迷妄を表すもので近代の科学的精神にはそぐはないからである。
　近代において、正しいのは科学的精神を宿しているモダン・アーティストなのだから、彼らは伝統的ではないモチーフ、ポーズ、構図を採用し

たのである。
　だから、近代の科学的精神によって正しいとされているので、モダン・アーティストは個性的な表現を行うのである。
　作品を見る→作者のコンセプトを考える→添えられたキャプションを読む→作品に意味を与えたクリティックを知る
　この４点が、モダン・アートとコンセプチュアル・アート（日本では現代アート）を鑑賞する作法である。

　やがて、モダン・アートを否定した新たなアートが生まれた。