ぎんゆうしじんになりたい男のブログ

キングコングバンディと猪木のボディスラムマッチみたいになってっけどよぉ by 上田晋也(くりいむしちゅー)

読書メモ

死にたい老人 木谷恭介

推理小説家木谷恭介が「断食安楽死」を計画・実行した記録で、出版は2011年9月である。その後の2012年に心不全で木谷恭介はこの世から去る。 断食して死ぬ方法が書いてあるわけではなく、断食して死に至ろうとすることを通して木谷恭介が自分の人生…

中国反骨列伝 伴野朗

後世に渡って語り継がれる人とは、自分の生命と引き換えに忠や義といった徳目を実践した人のことだろう。 非常時に我が身と引き換えに”お家”を守った部下こそ忠義であるのだから、平常時の部下を忠義に厚いと思ってはいけない。それは利害の紐帯で結ばれた誰…

カフカの「判決」と「流刑地にて」を読んだ

『判決』はカフカが自分なりの小説の書き方を会得した作品だそうだ。読んでみると、友人に手紙を出そうとしている成年が父親と口論になり、家の外に出る話であった。 日常生活にありそうな一コマであり、創作講座でアイディアとして講師に提案したら即座にボ…

任侠映画伝 俊藤 浩滋 山根 貞男

任侠映画伝 明治・大正の男たちに、日本的犠牲精神を託した物語が任侠映画である。 東映任侠映画のはじまりは、「人生劇場 飛車角」だとされる。 任侠映画のストーリー展開は、フィクションだがそこにホンモノのやくざ社会への取材によって得たリアルな要素…

D&Dを作った男 ゲイリー・ガイギャックス

D&Dを作った男 ゲイリー・ガイギャックス D&Dは、卓上ゲームの中でも独特の一分野、ロール・プレイング・ゲーム(RPG)と呼ばれる分野を開拓した。 RPGはミニチュアウォーゲームの戦術性とグループ・ストーリーテリング(複数人物でお話しを作る…

ヒロイックファンタジーとは?

sword&sorcery 剣と魔術の世界 ヒロイックファンタジーとは? L・スプレイグ・ディ・キャンプによる”ヒロイック・ファンタジー”とは、 『いま現在の世界でも、過去の世界でも、未来の世界でもなく、よい物語を展開するのにふさわしいそうあるべきだった世界…

黒澤清 恐怖の対談

黒澤清 恐怖の対談 青土社 映画のシーンは、撮影されたキャメラのアングルのカットで構成される。様々な”空間”を撮ったカットによって、シーンが出来あがる。 J・ホラーの作り手たちは、ごく一般的な人、物、風景であっても、キャメラのアングル、距離によ…

ハンナ・アーレント入門 杉浦敏子

ハンナ・アーレント入門 杉浦敏子 藤原書店 最近、アーレントが特集されている気がする。 複数性、ポリスの復権、労働観の再考などアーレントの用語がどのようなことを意味するのかを分かりやすくまとめてある。 知識人たちは、アーレントの複数性を梃子にポ…

日本国民に告ぐ 小室直樹

日本国民に告ぐ 小室直樹 WAC出版 本著の内容は、日本は近代国家なのか、という点に尽きる。 日本が近代国家ならば、内政干渉なのだから教科書の内容について他国から抗議を聞き入れる必要はなく、条約締結で解決している問題について、改めて見解を述べ…

ホッブス リヴァイアサンの哲学者  田中浩

ホッブス リヴァイアサンの哲学者 田中浩 岩波新書 アリストテレスは、人間が公的空間を形成することを本然的なものと考えている。 これに対して、ホッブスは、人間は利己的な存在であるとする。そして、危急の事態になれば、人間同士が殺し合う事態になるの…

モモ ミヒャエル・エンデ作

『モモ』は、おそらく今でも小学生の読書感想文に指定されているのだろうか。小学生の頃、読むのを途中でやめてしまい、そのことは大人になったいまでも心に残っていた。 墓参りに行く予定があり、丁度いい機会なので、長時間電車内で移動する際に『モモ』を…

ロスコ 芸術家のリアリティー美術論集ー

何を表現するべきか、何が芸術か、モダン・アート以後あらゆるアーティストが思い悩む問いである。 美術論というより、ロスコにとっての芸術とはかくあるべしといった覚え書きに近い。

日本の無思想 加藤典洋

日本の大臣の失言とその撤回という一連の騒動から始まり、古代、中世、近代の公と私の移り変わりをおっていくことで、ついつい私たちが公共性と私的領域について考えがちなこと浮かび上がってくる。 個人的には、カント哲学に対する考え方が変わった。

この厄介な国、中国 岡田英弘

どうして、中国古典いわゆる漢籍に記された人物像と実際の中国人が、あまりにもかけ離れているのか。 歴史的背景から解き明かしている。

だれが中国をつくったか 岡田英弘

一番最初の歴史書が、その国の国民の行動・思考の規範となるのではないか。 この考え方に基づいて著者は中国人の歴史認識、外交政策について自説を展開する。 個人的に、どうして中国の歴史物語は、同じようなストーリー展開を繰り返すのかが、以前から疑問…

資本主義経済はなぜ自壊したのか? 中谷巌

資本主義経済はなぜ自壊したのか? 中谷 巌 市場メカニズムが適正に働けば、みなが得をする社会が実現できる……のか? グローバリズム資本主義は誤っており、適正な資本主義に立ち返るべきと著者は主張するが、そもそも資本主義自体がポランニーの主張する”悪…