ぎんゆうしじんになりたい男のブログ

キングコングバンディと猪木のボディスラムマッチみたいになってっけどよぉ by 上田晋也(くりいむしちゅー)

VOL.1 カラヴァッジョ

 カラヴァッジョのクライアントはカトリック教会であった。
当時、絶対的な権力を掌握していた教会はアーティスたちのパトロンでもあった。
 教会は、イエス=キリストの教えを無学なオーディエンスたちに示すビジョンとして、絵画の制作をアーティストに命じた。
 絵画には、為政者が代表を務める社会・共同体に所属する人々に約束する未来のイメージとしての側面がある。それは、絵画を政治的に用いたビジョンである。
 カトリック教会は、プロテスタントに対抗される手段としてカラヴァッジョの絵画をオーディエンスに公開した。
 カラヴァッジョが描いた『ヨハネの斬首』を、聖人ヨハネが死刑執行人によって殺されるという画面構成から、     S・シャーマは国家による私人の暗殺というクリティックを与えた。
 クリティックによって、目に見えるもの以上の意味を与えられた近代以前のアートは今日に至るまで保存されることになった。
 なによりもクリティックを与えられるだけの完成度をもったアートでなければならない。カラヴァッジョの絵画その要件を満たしていた。